親父
実家に帰省したので、久しぶりに親父とお袋とお墓参りに行った。
その帰り、近くの小さな神社に寄ることになった。
小さな町の小さなその神社は、社務所はあるが普段は誰も居なくて、氏子さんたちが当番を決めて世話をしている。
子供の頃、夏休みなんかにはセミ取りやカブト取りにその神社の森に来てたのを今でも憶えてる。
薄暗い森に囲まれたその神社、子供の頃から何も変わってなくて、道から森の奥の本殿まで参道が続いてる。
親父と二人で静かにその参道を歩いた。
お正月前ということもあり、神社には落ち葉も綺麗に掃除されて、静かに新年を待ってるいる感じだ。
きっと、今年の神社の世話役さんたちが掃除してくれたのだろう。
俺はゆっくりと親父が歩く参道に続いた。
親父は静かに昔話を始めながらゆっくりと歩いた。
何も変わってないと思ってた神社も、やはり親父の子供の頃からすれば随分と変わったらしい。
「昔はここまで川が流れてたんだぞ」
「ここにはもっと大きな木があったが、雷が落ちてなぁ・・・」
色々と語りかけるように、ゆっくりと親父と歩いた。
「ふ~~~ん・・・」
俺はただ薄暗い周りの森を眺めながら、親父の話を聞くだけだった。
先に歩く親父の背中を見ながら・・・
いつの間にか、小さく弱々しくなった親父の背中を見つめながら歩いた。
こうして親父と歩いたのは初めてのことだろう。
そしてたぶん、もうないかもしれない。
「また帰ってこいよ」
そんな親父の一言が、何一つ親孝行してない俺の耳には色々な言葉として入ってきて噛み締めた。
そして親父にバレないよう、そっと一滴の涙を拭った。
親父とこうして歩いたこと、きっと俺は一生忘れないと思う。
親父はどう思ってるか知らないが、俺はずっと忘れないだろう。
本殿でお参りをし、折り返しまた参道を入り口まで戻ると、駐車場で待ってたお袋がそっと微笑んで迎えてくれた。
そんな年の瀬、良いお年をお迎えください。

















































































最近のコメント